【記事翻訳】The Economist誌でのプロサバンナ特集

TWITTER
FACEBOOK
 
The Economist誌でプロサバンナ特集がありました。
以下のリンクから原文をご覧いただけます。
https://www.economist.com/middle-east-and-africa/2019/11/14/brazil-and-japan-plotted-a-farming-revolution-in-mozambique
以下は日本語訳文です。
================

ブラジルと日本がモザンビークで目論んだ農業改革
しかし両国が蒔いたものは大豆ではなく反対の種だった

2019年11月14日 ナンプーラ

モザンビーク北部の草原を目を凝らして見つめると、そこはブラジル中央部に位置するサバンナ地帯のセラードのようにも見える。この草原も集約農業によって様相を変えられてしまうのだろうか? セラードの低木林がブラジルを食料輸入国から世界有数の穀倉地帯へと変化させた大豆畑に姿を変えられてしまったのと全く同じように。それこそがブラジルと日本の専門家によってモザンビークへ導入されている計画、すなわちプロサバンナ事業の背後に潜む考えであった。2009年に開始されたプロサバンナ事業は、およそブルガリアの国土と同規模の107,000㎡に亘る地帯の農業生産力向上を目的としていた。

政治家たちは、プロサバンナを「南南協力」の画期的一例として触れ回った。アフリカ大陸において、プロサバンナ事業が抱く野心に合致するほどの農業計画は他に存在しないに等しく、この事業には多くの農学者たちがこの大陸で夢見る未来を描いていた。すなわち、生産力のある商才にたけた小規模農家と大規模プランテーションが世界中に農産物を輸出する姿である。 しかし、プロサバンナ事業は思いあがった空論でしかなく、上意下達式計画は期待はずれに終わる実例となってしまった。

サハラ以南アフリカに住む人々の60%程度は、彼らの自身の耕作地を使って生計を立ており、殆どの人々は改良種や化学肥料を使用していない。ケニアやウガンダの典型的な農家による1ヘクタールごとのトウモロコシ生産は、中国のそれと比較して3分の1程度、そしてアメリカの約6分の1だ。世界に残された未開墾の土地の殆どがアフリカにある。手つかずの可能性といった物語が、商業農業をアフリカに引込んでいる。アグリビジネス企業の中には、自社の広大な所有地を開墾する企業の他に、現地の農家から換金作物の購入契約を結び始める企業も存在する。これらの企業は、特に土地の問題でしばしば反対に直面し、いつの間にか撤退する。

プロサバンナ事業もまた、類似した疑惑にぶつかった。この10年間の事業の活動は、小さな調査研究所とモデル農家数軒を除き特筆すべきものは皆無である。北部の町、リバウエの郊外にある調査地では、農家たちは専門家による市場価格の調査方法やグループ貯蓄を始めるための支援を受け、小ぎれいに整えられた畝でタマネギが育てられていた。しかし、これは広大な風景に残された単なるひっかき傷に過ぎない。未だ事業計画の中核部が開始される前に、プロサバンナ事業が蒔いたもの多くは市民社会運動の種(たね)であった。

大多数のモザンビーク人が初めてプロサバンナ事業という言葉を知ったのは、2011年のブラジルの新聞に掲載された「モザンビークはブラジルの大豆のために土地を提供する」という見出しから始まる記事による。記事はモザンビークを「ブラジルの次の農業フロンティア」として描き、続いてモザンビーク北部の半分は「無人」の地であるというブラジル人農学者の主張を引用した。そして2013年、プロサバンナ事業計画の内部文書が流出した。文書では小規模農家の重要性が強調されていたものの、小規模農家と企業農業群との連結を想定するものだった。ある未公開株式投資会社は、(プロサバンナ)事業に関連するアグリビジネス事業への20億ドルの調達を目指した。

(モザンビークの)活動家たちは、この計画を「大規模な土地の収奪」であると非難した。彼らは調査のためブラジルのセラードに足を運び、プロサバンナ事業の3国間構造をそのまま映し出すかのように、ブラジルと日本の市民運動と協働した。事業停止を要求する公開書簡はモザンビーク国内の23団体および海外の43団体によって署名された。(事業をめぐる)論争において、市民社会と事業者は互いを実情に疎く、相いれない存在として捉えた。つまり、一方は邪悪な企業のサクラであり、一方は無知なNGOのカモであると見なしていたのだ。

和解しがたい二つの世界観の間に隔たりが開いた。モザンビーク北部の農民の多くは、土壌が休閑を必要とする際に新たな土地へ移動する休閑農法を実践している。しかし、農学者たちは急激な人口上昇によってこれが不可能になると訴えている。プロサバンナ事業を担当するモザンビーク政府のアントニオ・リンバウは、集約的な耕作のためにハイブリッド種と化学肥料を使用すべきだと訴える。そうすることで「同じ一画の土地から現在より多くの人々に食料を与えられるのだ」。

 農民たちはこういった議論を高圧的だとしている。ナンプーラ州農民連合代表のコスタ・エステバオンは「我々は子供ではない」と語る。彼はプロサバンナ事業が伝統的な農業のあり方を排除することを目的としていると明言した。また、彼は高価な化学肥料や有毒な農薬についても懸念を示している。環境活動家のアナベラ・レーモスは、政府と企業は「カンペシーナ(Campesinaすなわち小農階級)を破壊」したいのだと述べる。そして、「(小農階級の破壊は)大間違いだ。小農こそが世界に食料を供給しているのだから」と加えた。

 日本国際協力機構(JICA)モザンビーク事務所所長の遠藤浩明は、こういったレトリックはプロサバンナ事業に「まとわりつく誤解」を反映していると吐息をつく。技官たちは、彼ら曰く小規模農家を利するという事業計画のマスタープランの草稿を、未だに書き直している。しかし延々と続く協議から明かされる内容が何であれ、事業に注がれた希望も恐怖も解決することはない。モザンビーク北部の人口が想像以上に多い事実を知ったブラジルの農家はモザンビークへの関心を失った。そしてジャイール・ボルソナーロ政府が放置している森林火災が続く母国ブラジルに新たな農業フロンティアを開拓している。
 
プロサバンナ事業による意外な帰結は、モザンビーク市民社会の強化である。これは、(プロサバンナ事業への抵抗)キャンペーンを通じた市民社会間の新たな連帯の構築によって生み出されたものである。一方で、モザンビーク北部の農民たちはというと、プロサバンナ事業の亡霊に、あらゆる種類の直接関係がない被害を重ね合わせる。ナンプーラ州の道端で村人たちは、名を名乗ることもなく50ヘクタールもの土地を要求してきた見知らぬ男の訪問について語った。その男のブルドーザーのタイヤの跡は路上にまだ残っている。彼は誰なのか? 彼は戻ってくるのだろうか? 現地の人々には皆目見当もつかない。だが村人の口から出る言葉、それは「プロサバンナ」である。
Original source:
TWITTER
FACEBOOK
TWITTER
FACEBOOK

Post a comment

Name

Email address (optional - if you want a reply)

Comment